採掘終了後のBTCセキュリティ|2140年問題を今考える

あなたがビットコインを保有しているとして、2140年のことを考えたことはありますか?

100年以上先の話と思うかもしれません。しかし、その未来の設計図は今すでに決まっており、その結末を追うとセルフカストディの意味がより鮮明に浮かび上がってきます。

採掘が終わる日

ビットコインの発行上限は2100万枚です。現在のブロック報酬は3.125BTCですが、4年ごとの半減期のたびに半分になり続け、約2140年に完全にゼロとなります。

その後、マイナー(採掘者)の収入源は一本に絞られます。取引手数料だけです。

これはプロトコル設計上の必然であり、バグでも欠陥でもありません。問題は、その手数料収入がマイナーを維持するに十分かどうかという点です。

手数料収入が不十分なら何が起きるか

マイナーはビジネスです。収入が採算ラインを下回れば撤退します。

撤退が続けばハッシュレートが低下します。ハッシュレートとはネットワーク全体の計算能力の総量であり、この数値が下がるほど51%攻撃のコストも下がります。

51%攻撃とは、ネットワーク全体の計算力の過半数を支配し、取引履歴を書き換えるか二重支払いを実行する攻撃手法です。現在のビットコインのハッシュレートでこれを実行しようとすると、天文学的なコストがかかります。しかしマイナーが大幅に減少すれば、その障壁は一気に低くなります。

攻撃者が最初に狙う場所

仮にハッシュレートが大幅に低下し、攻撃コストが現実的な水準まで下がったとします。攻撃者はどこを狙うでしょうか。

答えは明確です。大量のBTCを一か所に集中管理している取引所です。

世界の主要な取引所には、数十万BTCが集まっています。セキュリティが弱体化したネットワークで、これほど効率的な標的はほかにありません。秘密鍵を自分で管理していない保有者は、そのリスクをまるごと取引所に預けていることになります。

2140年の話を今するのはなぜか

「100年後の問題ではないか」という反論はもっともです。しかしこの思考実験は、現在の自分の状況を映す鏡として機能します。

今この瞬間も、あなたのBTCが取引所に置かれているとすれば、あなたはすでに取引所のセキュリティに完全に依存しています。秘密鍵を持っていない以上、BTCへのアクセス権は取引所側にあります。不正アクセス、サーバー障害、経営破綻——どれが起きても、自分のBTCをすぐ動かせない状況に置かれているのです。

2140年に起きうる事態の縮小版は、今この瞬間にも十分起き得ます。過去にはFTXの破綻でユーザーが数年にわたって資産にアクセスできなくなった事例があります。マウントゴックス事件の被害者の一部は、10年以上たった今もなお回収を待ち続けています。

セルフカストディは「未来への保険」ではない

よく「万が一のためにセルフカストディを」と言われます。しかし、それは半分しか正しくありません。

セルフカストディとは、今この瞬間のビットコインのアクセス権を自分の手に置くことです。遠い未来のリスクに備えるためではなく、現在の状況を変えるための具体的な行動です。

ハードウォレットを用意し、シードフレーズを安全に管理し、定期的に少額の送金テストを行う。このサイクルを一度確立してしまえば、2140年に手数料市場がどうなろうと「自分のBTCは自分が管理している」という事実は変わりません。

取引所に資産を置き続けることは、100年後の不確実性を待つまでもなく、今すでに管理権を手放している状態です。その現実に気づいたとき、次にすべきことは自ずと見えてくるはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

この記事が参考になったら、セルフカストディの具体的な始め方もチェックしてみてください。

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