毎回2%が消える|販売所スプレッドとBTC積立の盲点

毎月コツコツとビットコインを積み立てている。そのたびに取引画面を確認し、「今月も買えた」と安心する。でも、その購入のたびに2〜4%が静かに消えていることに気づいているだろうか。

「手数料無料」の仕組み

日本の暗号資産サービスの多くは「販売所形式」を採用している。取引所が自ら売り手・買い手として機能するため、取引画面には「手数料0円」と表示される。しかしサービスの収益源がなくなるわけではない。

その代わりに使われるのがスプレッドだ。買値と売値の差がそのまま取引所の利益になる仕組みで、多くの場合1〜4%程度に設定されている。購入時に払う手数料が見えないだけで、コストは確実に存在する。

スプレッドが2%の場合、100万円分のBTCを購入すると2万円が価格差として消える。売却まで考えると往復で4万円だ。月3万円ずつ積み立てて1年続ければ、スプレッドだけで合計7万円超のコストがかかっている計算になる。「無料」と書いてある画面の裏側で、これだけの金額が動いている。

板取引と比べると差は歴然

一方、取引所形式(板取引)では、ユーザー同士が売買する。取引所が介在するのはマッチングだけで、手数料は約0.1〜0.5%程度。同じ100万円の購入でも、コストは最大5,000円で済む。

スプレッドの2万円と比べると、4分の1以下のコストだ。同じ金額・同じ頻度で積み立てても、どの形式を使うかで年間の実質取得コストに数万円の差が生まれる。長期積立を前提にするなら、この差は無視できない。

国内の主要取引所の多くは板取引に対応している。まず自分が使っているサービスが販売所形式か取引所形式かを確認するだけで、毎月のコストが大きく変わる。スプレッドの計算をしたことがない人は、一度試してみることをすすめる。

コストを抑えても残る問題

ここで立ち止まって考えてほしい。板取引へ移行してスプレッドのコストをゼロに近づけることは、正しいステップだ。しかしどちらの形式を選んでも、一つの共通点がある。

秘密鍵を自分で持っていない、という点だ。

ビットコインにアクセスするための鍵は「秘密鍵」と呼ばれる。秘密鍵を持つ者だけが、そのBTCを動かせる。取引所に預けている限り、秘密鍵は取引所が管理している。あなたが持っているのは「取引所のシステムを通じてBTCを引き出せる権利」であり、その権利の行使は取引所の状態に依存する。

アクセス権という視点

日本の資金決済法では、暗号資産取引所に対して顧客資産の分別管理が義務づけられている。法的には顧客の資産として保護される建て付けになっている。しかし、保護と「即座に引き出せること」は別の話だ。

取引所がシステム障害を起こせば出金は止まる。経営危機に陥れば手続きが長期化する。マウントゴックス破綻(2014年)の顧客がBTCを取り戻し始めたのは、10年後の2024年だ。法的に保護されていても、アクセスできない期間が生じることは現実として起きている。

コスト最適化を意識して板取引へ移行しながら、BTCへのアクセス権は取引所に預けたまま、という状態は、管理の観点から見て完成形とは言えない。

2つのステップで完成する保有

現実的な対応策は2段階ある。

まず、板取引への移行でスプレッドのコストをゼロに近づける。これだけで毎月の積立コストが大幅に変わる。次に、一定額が積み上がった段階でハードウォレットへ移動させる。秘密鍵を自分で管理することで、取引所の状態に関わらずBTCへのアクセス権が自分の手に戻る。

この2ステップが、日本のBTC長期保有者が取るべき基本的な道筋だ。手数料の最適化は入口に過ぎない。秘密鍵を持つことが、保有の完成形だ。

自分が使っているサービスのスプレッドを、今日確認してみてほしい。その数字が、次の行動を決める起点になる。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

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